書き出しボタンを押して、残り時間の表示を見たとたんに気持ちが沈む。その間は他の作業もできず、ただ待つだけになります。私も同じで、メモリ8GBのMacBook Airで顔も声も出さない動画を200本以上作ってきました。
書き出しの時間は、編集そのものより気力を削ります。編集が終わった達成感のあとに、何もできない時間が来るからです。ただ、この待ち時間の一部は自分で作っていました。素材の大きさ、重ねた効果、開きっぱなしのアプリ。そのどれもが、書き出しの長さに直結していました。
書き出しが終わらないんですが、パソコンを買い替えるしかないですか。
悩む人
その前に、設定を5か所だけ見てください。お金をかけずに減らせる待ち時間が残っています。
管理人
この記事でわかること
- 書き出しが遅くなる4つの原因
- 今日すぐ見直せる5つの設定
- メモリ8GBのMacで起きている状態
- 待ち時間そのものを減らす工夫
- 買い替えを考える目安
先に結論です。遅さの多くは、パソコンの性能ではなく設定と素材の扱い方で起きています。順番に見ていきます。
書き出しが遅い4つの原因

結論から書きます。書き出しが遅い原因は、たいてい4つのどれかです。パソコンの性能は最後に出てくる話で、その前に減らせる負担がいくつも残っています。私も以前は「Macが古いから」で片づけていましたが、実際に中を調べると、自分で増やしていた負担のほうが大きいとわかりました。原因を切り分けないまま設定をいじると、効かない場所ばかり触ることになります。4つを順に確認してください。
4K素材のまま編集
1つ目は素材の大きさです。4Kの映像は、フルHDと比べて画素の数が4倍あります。同じ1分の映像でも、パソコンが処理する量が単純に4倍になるということです。
私が使っている実写素材は4Kから8Kで撮ったものが中心で、これをそのまま並べると編集中から動きが重くなります。**素材が大きいほど、書き出しは長くなります**。ここは体感ではなく計算の話です。
エフェクトと文字の重ねすぎ
2つ目は、映像の上に重ねたものの数です。文字、図形、切り替えの効果、色の調整。これらは1つずつは軽くても、重なると書き出しのたびに全部を計算し直すことになります。
同じ画面に4つも5つも重ねている場所が、書き出しを止めている犯人ということがあります。まずは重ねた数を数えてみてください。
メモリ不足で起きるスワップ
3つ目がメモリです。メモリが足りなくなると、Macは足りない分をSSDで肩代わりします。この仕組みをスワップと呼びます。
問題はここからで、SSDはメモリよりずっと遅い部品です。肩代わりが増えるほど、待ち時間が伸びていきます。**この状態は画面に出ないので、遅い理由として気づかれません**。
書き出し先ドライブの遅さ
4つ目は、書き出したファイルの置き場所です。外付けの保存装置に直接書き出すと、接続の速さがそのまま待ち時間に乗ります。
USBの規格が古い機器や、机の上で長いケーブルを経由している場合は特に影響が出ます。いったん本体に書き出してから移すほうが速い場合があります。
まず見直す5つの設定

原因がわかったら、次は設定です。ここで紹介する5つは、どれも数分で終わります。しかも今日から効きます。順番も意味があり、上から試すほど効果が出やすい並びにしました。設定の場所はすべて公式のユーザーガイドで確認した表記に合わせています。ここを一度も見ていないなら、書き出し時間は確実に損をしています。1つずつ見ていきましょう。
ハードウェアアクセラレーション
最初に確認するのがこれです。映像の処理をCPUだけに任せず、画像処理が得意な部品にも手伝わせる設定になります。
公式ガイドでは、ファイルから設定を開き、パフォーマンスタブのGPUの欄にある「動画のレンダリングおよび再生でのハードウェアアクセラレーションを有効にする」にチェックを入れる、と書かれています。同じ欄には「動画デコーディングのハードウェアアクセラレーション」もあります。
確認する場所
- ファイル
- 設定
- パフォーマンスタブ
- GPUの欄
- 2つのチェック
ここが外れたままだと、本来使える力を使わずに書き出していることになります。
書き出し解像度とビットレート
次が出力の設定です。4Kで撮った素材でも、YouTubeに出す動画をすべて4Kで書き出す必要はありません。
YouTubeの公式ヘルプでは、推奨するアップロードの映像ビットレートを1080pで8Mbps、4K(2160p)で35〜45Mbpsとしています。同じ長さの動画でも、データの量が4倍以上ちがうということです。**1080pで書き出すだけで、処理も保存容量も大きく減ります**。
プロキシの自動作成
3つ目はプロキシです。編集中だけ軽い映像に置き換えて作業し、仕上げでは元の素材に戻す仕組みになります。
公式ガイドでは、パフォーマンスタブの「メディアの解像度が次の値よりも高い場合は、自動的にプロキシを作成する」にチェックを入れて解像度を選ぶ、と説明されています。書き出しについては「最終的に動画を4KまたはUHD解像度でエクスポートすることができます」と書かれており、元の高解像度が使われます。
ここは推測をはさまずに書きます。プロキシで軽くなるのは編集中であって、書き出し時間が短くなるとは公式に書かれていません。編集の快適さのための設定だと考えてください。
バックグラウンドレンダリング
4つ目は、待ち時間を前倒しにする設定です。タイムラインに置いた素材を、作業中に少しずつ計算しておく機能になります。
公式ガイドにも、パフォーマンスタブでハードウェアアクセラレーションを有効にしたうえで、確実にレンダリングするために「バックグランドレンダリング」にチェックを入れる、という説明があります。編集しながら裏で進めておけば、最後にまとめて待つ量が減ります。
同時に開くアプリの整理
最後が一番地味で、一番効きます。ブラウザのタブを大量に開いたまま書き出すと、メモリの取り合いになります。
私のMacで実際に測ったところ、編集を始める前の時点でスワップの使用量が約10.3GBありました。**本体のメモリは8GBなので、それを超える量をSSDが肩代わりしている状態**です。書き出す前にタブとアプリを閉じてください。
8GBのMacで起きる現実

ここからは、私のMacで実際に起きていることを書きます。機種はMacBook Air、チップはM1、メモリは8GB、CPUは8コアです。Filmoraのバージョンは15.6.4を使っています。ネットの記事では「メモリ8GBでも編集できます」と書かれることが多いのですが、実際に長く使うと見え方が変わります。できないわけではなく、待ち時間と引き換えにできているだけです。3つの場面を挙げます。
スワップ10GB超という状態
先ほども触れた数字です。何も編集していない状態で、スワップの使用量が約10.3GBありました。
メモリ8GBの機械が、それを上回る量をSSDで肩代わりしています。この状態でFilmoraを起動し、4Kの素材を並べ、書き出しを始めることになります。遅いのではなく、遅くなる条件が最初からそろっているという見方が正しいです。
書き出し中にできない作業
書き出している間、同じMacで別の作業をするのは現実的ではありません。ブラウザの動きが鈍くなり、文字の入力も引っかかります。
私は書き出し中は完全に手を止めるか、机を離れるようにしています。**無理に同時作業をすると、書き出し自体がさらに遅くなる**ためです。結果として、両方が遅くなります。
画面のちらつきと発熱
負荷が限界を超えると、見た目にも出ます。私の場合、タブを大量に開いたままFilmoraを動かして、スワップが20GB近くまで増えたときに画面がちらついたことがありました。
本体も熱くなり、触ると温度の上がり方がわかります。このときは作業を続けず、いったんアプリを閉じて落ち着かせました。**ここまで来たら設定の問題ではなく、使い方の問題**です。
待ち時間を減らす編集術

設定を直しても、書き出しの時間がゼロになるわけではありません。であれば、待ち時間を前提にした進め方に変えたほうが早く終わります。私は動画を200本以上作る中で、速さを追いかけるのをやめて、待ち時間を別の時間に移す方向に切り替えました。待つのをやめるのではなく、自分が待たない時間帯に動かすのが現実的です。3つ紹介します。
寝る前の書き出し習慣
もっとも簡単な方法がこれです。編集を終えたら書き出しを開始し、そのまま寝ます。
朝には終わっています。この方法にしてから、書き出し時間を気にすることがほとんどなくなりました。ただし1つ注意があり、**Macが途中でスリープすると止まることがあります**。私のMacを調べたところ、無操作から1分でスリープする設定になっていました。
夜に書き出す前の確認
- 電源アダプタの接続
- スリープまでの時間
- 保存先の空き容量
- 書き出し設定の解像度
章ごとの分割書き出し
長い動画を1本で書き出すと、失敗したときの損が大きくなります。30分の動画で最後の1分に間違いを見つけたら、また最初から書き出すことになります。
私は長い動画を章ごとに分けて書き出し、あとでつなげる形にしています。やり直す範囲が小さくなるほど、結果として待ち時間の合計は短くなります。
素材の事前整理
書き出しの前ではなく、編集を始める前の話です。使わない素材までタイムラインに置いたままにしていると、その分も処理の対象になります。
私は編集に入る前に、使う素材だけを別のフォルダにまとめるようにしました。**探す時間も減るので、作業全体が短くなります**。
買い替える前の判断基準

ここまで試してもまだ遅い場合、はじめて機材の話になります。ただ、パソコンの買い替えは金額が大きい判断です。順番を間違えて先に買ってしまうと、同じ使い方のまま同じ不満を持つことになりかねません。私自身、8GBのMacで200本以上作れているので、買い替えなければ作れないとは考えていません。買い替えは最後の手段で、先にやることが残っています。3つの基準で考えてください。
効くのはメモリより使い方
メモリを増やせば快適になるのは確かです。しかし、増やしても同じようにタブを20個開いて4Kのまま編集すれば、また足りなくなります。
まず今の機械で、素材の解像度を落とし、アプリを閉じ、設定を見直してください。**それでも足りないと感じた時点の不満こそ、買い替えで解決する不満**です。
外付けSSDの使いどころ
本体の空き容量が少ないと、スワップに使える領域も圧迫されます。私のMacの内蔵ストレージは228GBで、空きは83GBでした。
素材の置き場所を外付けSSDに移すと、本体の空きを確保できます。ただし書き出し先は本体にして、あとから移すほうが速い場合があるので、素材置き場と書き出し先は分けて考えてください。外付けのハードディスクを使う時の注意はこちらの記事にまとめました。
買い替えを考える目安
最後に目安です。金額ではなく、時間で考えるとわかりやすくなります。
1本あたりの待ち時間に、月に作る本数を掛けてみてください。その合計時間を取り戻したいと本気で思うなら、買い替えは投資になります。**そこまでの本数を作っていないなら、いまは設定の見直しで足ります**。
Filmoraの書き出しFAQ

最後に、書き出しでよく出てくる疑問をまとめました。調べてもはっきりしない項目が多い分野なので、公式に書かれていることと、私の環境で確かめたことを分けて整理しました。公式に記載がないものは、断定せずに正直に書きます。6つ取り上げます。
書き出しが途中で止まる時
まず保存先の空き容量を確認してください。次にMacのスリープ設定です。私の環境では無操作1分でスリープする設定になっており、放置すると止まる条件がそろっていました。
長い書き出しをするときは、電源アダプタをつないだうえでスリープまでの時間を延ばしてください。**素材の一部が壊れている場合もある**ので、止まる位置がいつも同じなら、その付近の素材を疑います。
画質を落とさず速くする方法
画質を保ったまま短くしたいなら、重ねた効果を減らすのが先です。文字や色調整の重なりは、画質と関係なく処理量だけを増やします。
画質を保つことと、4Kで書き出すことは別の話です。1080pでも、効果を整理した動画のほうがきれいに見えることがあります。
無料版と有料版の速度差
ここは正直に書きます。公式のガイドに、無料版と有料版で書き出し速度が異なるという記載は見つかりませんでした。
無料版との違いとして公式が挙げているのはロゴなどの制限で、速度の話ではありません。無料版の制限についてはFilmora無料版でできることを調べた記事にまとめています。
4Kで書き出す必要性
多くの人には不要です。YouTubeの推奨ビットレートは1080pで8Mbps、4Kで35〜45Mbpsとされており、データ量が4倍以上ちがいます。
風景をじっくり見せる動画なら4Kの価値はありますが、文字と図で説明する動画では差が出にくいです。**迷ったら1080pで出し、必要になってから4Kに上げてください**。
書き出し中のスリープ対策
Macのシステム設定から、電源に関する項目でスリープまでの時間を変更できます。書き出しの前に確認するだけで、夜の放置が安全になります。
私は電源アダプタをつないだうえで、書き出しの日はスリープを長めにしています。電池だけで長い書き出しを始めるのは避けてください。
M1のMacでも遅い理由
チップが新しくても、メモリの量は別の話です。M1は処理の効率が高いチップですが、8GBという量の上限までは変えられません。
私のMacも、チップはM1でメモリは8GBです。**速さを決めているのはチップだけではない**ので、M1だから速いはずという前提は外してください。
まとめ
書き出しが遅い原因は、素材の大きさ、重ねた効果、メモリ不足、保存先の4つに集まります。そして多くは、設定の見直しと使い方の工夫で減らせます。
今日やる3つの手順
- パフォーマンスタブの確認
- 書き出しを1080pに変更
- 開いているアプリを閉じる
私はメモリ8GBのMacBook Airで、顔も声も出さない動画を200本以上作ってきました。速い機械ではありませんが、作れなかったことはありません。今日やることは、パフォーマンスタブを開いてチェックが入っているか見ることだけです。
操作そのものに迷いがある場合は、Filmoraの使い方を初心者向けに解説した記事から先に読んでみてください。


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